気の毒とは、本来は「毒を飲んでしまったようないやな気持ち」という意味だが、その後、同情を禁じ得ないような相手の悲惨な状況に対して、「助けてあげたいのにできなくて、心苦しくなるほどだ」という気分を表すようにもなり、いまではもっぱらこちらの意味で用いられている。つまり「気の毒」は、「かわいそうだが助けられません」という態度表明でもあるのだ。
似たような言葉に「目の毒」があるが、こちらは言葉の本来の意味通り、同情を禁じ得ないような相手の顔やスタイルに対して「目に害をもたらす毒である」という率直な気持ちを表している。(CAS)