蚊とは、献血募集のサイレンを鳴らしながら人間を襲う昆虫。血を吸うだけなら多くの人間が喜んで協力するはずだが、そのお礼に不愉快なかゆみを残していくので、圧殺や毒ガスによる殺戮を受けるはめになる。
夏期に湿度が高い日本は蚊の育成にやさしい環境が整っており、「蚊」はもとより、「蚊遣り火」、「蚊取り線香」、「蚊帳(かや)」などが、俳句の夏の季語となっている。「蚊遣り火」や「蚊帳」は、蚊を殺さずに人から遠ざけるものなので優雅な詩語になりうるが、大量殺戮が可能な「殺虫剤」はさすがに季語にはなりにくく、多少の殺傷能力のある「蚊取り線香」がぎりぎりセーフである。(CAS)