怪獣(kaiju)とは、怪しげな動物という意味で、日本式モンスターのことをいう。特撮映画の創世記に登場した西洋のモンスターが、動作の鈍さを映画の撮影技術でおぎなっているようなぎこちなさと、恐竜や大型の猛獣といったワンパターンな顔ぶれを特徴としているのに対して、日本の怪獣は人間が中に入って動かしているような動きのスムーズさと、毎週正義のヒーローに倒されるために次々と個性豊かな新顔が登場するという種の多様さを売り物にして、一時期の特撮物の黄金期を作り上げた。
日本映画に登場したゴジラを初めとする初期の怪獣は、まるでビルや鉄道などをひとつひとつ手作りしたミニチュアのような有名な街を片っ端から破壊していたが、後期の怪獣映画やテレビの特撮番組では、貧乏な制作者に遠慮して野っぱらや宇宙など環境整備に手間がかからずリサイクルが可能な舞台で、正義の味方と一緒にのびのびと暴れている。(CAS)