カテゴリー:擬声語、擬態語、副詞、感動詞、接頭語、接尾語
ガタピシとは、立て付けの悪い引き戸を開け閉めするときの音を表現した言葉。その連想から、壊れかけたり傷ついたりしてスムーズに動かない機械、組織、身体などのありさまをいうのにも用いる。擬音語として適切な表現とも思われるが、もとは仏教語で自分と他者とを区別するという意味の「我他彼此(がたひし)」から来ているのだという。無我の境地を理想とする仏教では、このように「我」と「他」、「彼」と「此」を区別する考えは、対立抗争を生む元凶として、信仰や修行により克服されるべきものとされる。そこから、自他の関係がうまくいかずぎくしゃくする様子や対立して騒がしいありさまを「がたひし」「ガタピシ」というようになったもの。「がたがた」「がたがくる」などもここから来ている……と、そのように理路整然と説明されても、やはり「がた」はただの音の写しのように感じられるのは私だけだろうか。(CAS)