カレーライスとは、カレーソースを日本のご飯にかけて食べる料理。インド発祥イギリス経由で紹介されたカレーをむりやりご飯と合体させ、日本の食文化になじませてしまったという、日本の「洋食技術」の粋を示す逸品である。
カレーライスは、ご飯+ソース(汁物)+具材+漬け物で構成される料理であり、日本の伝統的な食事「一汁一菜(ご飯+味噌汁+料理一品+漬け物で構成される)」を一皿に盛り合わせたものと見立てることもできる。そう考えると、カレーライスが日本の食卓にスムーズに取り入れられたのも納得がいく。
その昔、家庭や安食堂で作るカレーライスのソースは、小麦粉のルーにカレー粉をちょっと加えただけの、カレー風味のあんかけのようなものであった。味が薄いので、ウスターソースをかけて「ソース・オン・ソース」の状態にして食べる人もいた。近年では、固形のカレールーやレトルトカレーが進歩し、家庭でも濃厚なカレーを食べることができるようになったため、黄色いカレーソースのトラウマにとらわれている年寄りでもなければ、ソースをかけて食べる人もみかけなくなった。
飲食店では、このような家庭用カレーと差別化をはかるために、長時間かけて煮込みましたといわんばかりに野菜が溶け込んでいるようにみえるソースなど、「ソース作りに手間をおしんでいない感」を出すための様々な工夫がなされてきた。ソースをライスと別に提供する演出もそのひとつである。しかし、有名な専門店のカレーにも「レトルトでは?」と感じさせるようなものもあり、レトルトでさえ家で作るのが面倒だという層をターゲットとしている牛丼専門店のような巨大チェーン店が少ないのはそんなところに理由があるのかもしれない。(CAS)