負うの「負」は勝ち負けの「負け」を意味するように、「負う」は、自分を敗者(弱者、地位的に低い者)の立場において、勝者(強者、地位的に高い者)である相手にサービスしたり、罰ゲームを受けたり、恩という借金を返そうとしたりと、弱者であることを喜ぶか、喜ばないまでも甘んじて引き受ける、という意味を表す。例えば、「子どもを負う」は子ども(「泣く子と地頭には勝てぬ」というくらいで、子どもは強者である)を背中に乗せるサービス、「責任を負う」は取りたくもない責任を引き受けるサービス、「痛手を負う」は深い傷という罰を受けること、「私の出世は両親の教育に負うところが大きい」とは両親に施された恩を返しても返しきれない、あるいはもう両親は死んでしまって返せないという負い目を表現している。「太陽を負って歩く」は単に太陽を背にして歩くという意味だが、レスリングでもなんでも、バックをとられたら負けなのである。(CAS)