お先、お先に、または、御先に失礼しますとは、相手より先にものごとを行うときにかける挨拶。特に、会社を退出するとき、いつまでもぐずぐず残っているやつらにかける言葉である。「お先」、「お先に」は、いずれも「御先に失礼します」の略。「失礼」は礼儀を欠くふるまいをすることをいうので、会社を退出する際の「御先に失礼します」は、「皆さんより先に帰ってしまうという礼儀知らずな行為をお許しください」といった意味あいをこめている。同僚や部下に対しては「お先」「お先に」と簡略化したものでよいが、上司に対しては「御先に失礼します」とフルバージョンで丁寧に挨拶しなければならない。しかし、「失礼します」などと言って帰るのは、「失礼だとわかっているなら帰るなよ」と正論のひとつも吐きたくなろうというもので、そんなわけだから、日本の会社ではぐうたら仕事をしている上司につきあって、サービス残業の日々が続くのである。そろそろ日本でも、海外の会社員ように「また明日」と、なんのうしろめたさもなくさわやかに声をかけて帰る習慣を身につけたいものである。(CAS)