この辞典の使い方>「お」で始まる言葉>おざなり、御座成りの意味、語源
カテゴリー:慣用語、擬声語、擬態語
おざなり(お座なり、御座成り)とは、その場(座)の形(なり)をとりつくろうといった意味で、例えば、「おざなりの仕事」は、不景気になって予算が削られると、すべてのテレビ番組や映画制作にあてはまる状況である。また「おざなりの返事」といえば、あなたが友だちに恋愛相談をもちかけられたとき、内心「おまえなんか別れてしまえ」と思っているのに、表向きは相手に同情しているふりをするときに返す返事をいう。
「おざなり」は「その場しのぎ」と似た意味を持つが、「その場しのぎ」が緊急を要する事案について、根本的な解決にはならないがとりあえず現状をやり過ごすだけの応急措置を施すのに対して、「おざなり」はさほど緊急を要しない事案について、応急措置さえやる気がなくていい加減に済ませているといったイメージで用いられる。例えば、借金取りから拳銃をつきつけられて「金返せ」と迫られている状況で、高利貸しから金を借りて返すのが「その場しのぎ」。「そのうち返せるでしょう」などという「おざなり」の対応では、拳銃を撃ち込まれるか、ぼこぼこにされるに決まっているので、このような緊急の場面では「おざなり」はあまり用いられない。
「おざなり」と混同しやすい言葉に「等閑(なおざり)」がある。両者の意味はまったく異なるが、解説は「等閑にする」の項目にゆずり、ここでの説明は「なおざり」にしておく。(CAS)