カテゴリー:日本論、国民性、習慣、礼儀
遠慮とは、漢語では「遠くのこと(遠い将来のこと)」を「考える、心配する」、つまり、先々まで考えをめぐらすということで、日本でも「深謀遠慮」などとその意味で用いられることもあるが、日本語でただ単に「遠慮」と言った場合は、相手との関係や場の状況を先々まで深く考えた結果、「行動を控える、やめる」といういかにも日本的な行動様式を表す言葉となる。
「遠くを思う」という意味あいで類似の言葉に「思いやり」があるが、こちらは先のことや相手の心理に考えを至らせて、「なんらかの行動を起こす」という意味で、「遠慮」と比べればだいぶ積極的である。ただし「思いやり」は、「人のためになる行動を起こす」ことに限られるので、「思いやりをもって策をめぐらせ、敵を皆殺しにする計画を立てなさい」などと、漢語の「遠慮」のような使い方はできないので注意が必要である。(CAS)