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馬の耳に念仏とは、馬の耳に向かって念仏(仏教の祈りの言葉)をとなえるという意味で、念仏の価値のわからない馬に対して、念仏をとなえているような坊主は信用がおけないということわざ。
また別の解釈では「馬の耳に念仏」とは、たいていの人間は念仏の意味や価値はわからないから、馬に対して念仏をとなえるのも、ぼんくらな人間に対して念仏をとなえるのも一緒であり、少しくらい間違ってもかまわないから、いい加減にやっつけておけという教え。
とはいったようなものの、「馬の耳に念仏」の一般的な解釈は、馬に念仏を聞かせるように、価値のわからない者に貴重な物品を渡したり重要な教えを聞かせたりするのはムダであるというもの。類似のことわざに「猫に小判」「豚に真珠」などがあるが、小判や真珠はたいていの人間なら価値がわかるから、「馬の耳に念仏」のほうがバカのハードルが高く、なかなか守れない注意事項を説明したり、難しい学説を教え聞かせたりする場合に用いられる。(CAS)