失うものは何もないは、何かに挑戦しようとする人を励ます言葉である。ただし誰にでも通用するわけではなく、もし失敗したり敗退したりしたとしてもほとんど損をしない人、例えば、実力はたいしたことないのに運よく勝ち進んで決勝まで進出してしまったスポーツ選手などに用いるのが適当である。ラッキーなだけでここまできたくせに一人前に緊張している人を夢から目覚めさせ、リラックスさせるための言葉だといえる。しかし、運だけで勝ち進んできた彼でさえ、大一番に臨んで負けたときは、失うものが大きいはずで、そんな無責任な励ましの言葉をかけているヤツこそ失うものは何もなく、お気楽なのだといいたい。
「失うものは何もない」は、日本語にはあまりなじまない理屈っぽい励ましの言葉であり、私見では、What do you have to loose?(きみに失うものなんてあるの?)などという英語の和訳から使われるようになったものではないかと思われる。(CAS)