怒り心頭に発するとは、心から怒りがこみあげるという意味。略して「怒り心頭」ともいう。ここで「心頭」は、「心と頭」ではなく、単に「心」という意味。この場合の「頭」は、中国語で名詞、動詞などの後に付けて名詞を作る軽い接尾語。中国語で「石頭」「木頭」といえば、「石のような頑固な頭」とか「ピノキオのように木でできた頭」の意味ではなく、単に「石」「木」を意味する。したがって、「怒り心頭に発する」も「怒りが心や頭に発する」と理解するべきではなく、単に「心から怒りがこみあげる」ととらえるべきである。昔の人々の考えによれば「怒り」は、「心に発し」すなわち心をスタートとして、「頭に来る」つまり頭をゴールとするランナーのようなもので、ときに怒りが激しいと頭が熱くなって「湯気をたて」たり、ありもしない「トサカに来」たり、さらには「怒髪天を衝く」といわれるように髪の毛を逆立たせて空を突き刺したりするのである。(CAS)