インストゥルメンタル、インスツルメンタル(instrumental)は、英語では「道具となる」「楽器の」「器具による」といった形容詞のほか、「道具」「器楽」または「器楽曲」という名詞としても用いられるが、日本語でいかにも日本語らしく「インストゥルメンタル」と発音する(もっと日本語らしく言うと「インスツルメンタル」)と、主に「器楽曲」の意味である。それも、流行歌のチャートにまぎれこんだ器楽曲(つまりみにくいアヒルの子みたいな曲)、あるいは歌手のいるバンドがたまに演奏する歌なしの曲(つまり歌い手の有給休暇曲)についていう場合が多い。要するに流行歌の業界の言葉であり、歌手なしが普通でヒットの期待も抱いていないジャズバンドの演奏曲などはあえて「インストゥルメンタル」とは言わない。
アメリカなどのヒットチャートではまれに器楽曲がベストテン圏内に入ったりするが、日本では、あってもなくてもかまわない歌詞の付いた曲ばかりであるにもかかわらず(アメリカよりましだが)、インストゥルメンタルが大ヒットすることはまったくといっていいほどない。(CAS)