イチオシ(一押し)とは、一番にプッシュする(押す)こと、プッシュするものという意味で、テレビの通販番組などで「一番に推奨したい商品」を言い表す言葉として多用されている。「イチオシ」というからには、その商品だけが集中的に推奨されているのかと思いきや、制作側は視聴者が一日中テレビを見ているはずがないとあなどっているのか、他にも「本日のイチオシ商品」があり、さらに「今週のイチオシ」「ワタシのイチオシ」などが入り乱れて、「イチオシ」という言葉の空虚化を促進している。イチオシの典型的な失敗例は、中国の楚の国で、「どんな盾(たて)をも突き通す矛(ほこ。棒の先に両刃の剣を付けた武器)」と「どんな矛でも防ぐ盾」を、それぞれ「イチオシ」で売っていたため、見物人から「矛盾」を指摘された商人の逸話である。(CAS)