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いろは歌とは、日本語の仮名を一度ずつ全部使って作られた詩(和歌)、すなわち長編のアナグラム。無理やり作られた詩にしてはなかなかよくできている。いろは歌に似たようなこころみは海外にもあるが、作品としての出来はいまいち。それもそのはずで、日本語の仮名は、「ん」という文字を除いて、すべてに母音が含まれるという特徴があり、アナグラムに適した言葉なのである。
いろは歌は、平安中期に作られ仮名を覚える教材として長く使われてきた。しかし、現在の無粋な教育体系では重視されない。もっとも、この歌は「人生ははかなくてつらいので、年がら年中酔っぱらっていたい」みたいなことを表現しており、子どもに説明するには難解で、教育に適しているかどうか疑問の残る内容であるとはいえる。(CAS)