カテゴリー:慣用語、擬声語、擬態語
いい迷惑の「迷惑」は、人を不快にしたり困らせたりする行為をいう。というわけで「迷惑」は「悪い」に決まっているのだが、それを「いい(良い)」といっているのは反語的表現であり、自分と直接関係ないことで迷惑を受けたような場合に「そんなめんどうな話をおれのところに持ってくるなんて、いい迷惑だ」などと用いる。似たような意味の言葉に「いい面の皮」があるが、この「いい(良い)」には、迷惑を受けているのに、相手を怒ることもできず、苦笑いを浮かべながらその迷惑を引き受けざるをえない「人のいい」自分に対する自嘲の意味がこめられていると考えられるが、「いい迷惑」も、その延長線上にある言葉のように感じられる。つまり、「迷惑」ではあるが、笑ってすませられる程度の軽いものであるか、または、不快に思っているのに拒否もせずに引き受ける自分を「な〜にやってんだか」とあきれている様子がうかがえるのである。(CAS)