頭数を「あたまかず」と読むと、頭の個数という意味だが、ギロチンで処刑された頭の数をいっているわけではなく、ひとつの頭にはひとつの胴体と人格が付属しているという常識のもと、頭の数によって人の数を表しているのであり、「頭数がそろったようだから仕事を始めよう」などと用いる。同じ理屈で「人数」を言い表すのに「お尻数」でも「背中数」でもいいわけだが、「お尻数がそろった」とか「背中数が集まった」などと言っても、「頭数」のように少しは社会の役に立ったり、仕事に前向きに取り組みそうな人が集まったようには感じられないから、やはり「頭」がいいのである。しかし、頭数を「とうすう」と読むと、ウシやカバなど大型の動物の数を言い表すことになるので、「頭数がそろった」という言い方には、実は「ウシやカバなみののろまなやつがそろった」という裏の気分が含まれているのかもしれない。(CAS)