許すとは、しばっている縄を緩める意味の語幹「ユル」と同じで、縛りをユルユルにするというイメージでとらえられる行為である。罪人を縛っている縄をユルめれば「罪を許す」の意味となり、家の防犯態勢を緩めれば「空き巣の侵入を許す」ことになり、女が男への警戒心をユルめれば「肌を許す」結果を招き、タイトな日程がユルくなれば「時間が許す限り」あなたとおつきあいができ、ある人物への評価基準をユルめれば「免許皆伝を許し」たり「第一人者として自他ともに許す」こととなる。
以上のように「許す」は、一儲けたくらむなら、相手が「ユルんで」いるときを狙えという示唆に富んだ基本語である。(CAS)