有名無実といっても、ドラッグ所持で逮捕された有名人が「オレは無実だ」と叫んでいる様子をいったものではなく、「名は有れども実は無い」つまり、名目、理念、体裁はご立派だが、実質的には価値がなく、役に立たないもの、例えば、権威ある賞が実は主催者や審査員への賄賂の多少により決定されていた事実が明らかにされたとき「この賞も有名無実になりさがった」などと用いる四字熟語である。してみると、冒頭の「おれは無実だ」と叫んでいる有名人も、逮捕された時点で「有名無実」になりさがったわけで、「おれは無実だ」は「おれは罪を犯していない」という意味ではなく、「おれは無価値だ」とわめいているのだと解釈すれば妙に納得のいくシチュエーションであるといえる。(CAS)