野(や)に下るとは、「官」から「民」になるという意味で、主に選挙に落選した政治家がただの民間人になることをいう。「下野(げや)する」ともいう。つまり、「官」から「民」への移行は、ぬくぬくした暮らしができる家の中から、生活していくのも大変な野原に放り出されたイメージでとらえられているのである。
なお、政権政党である「与党」にたてつく政党を「野党」というが、この場合の「野」は「民間」ではなく、「政権の側にない(ということは、民間も同然であるが)」という意味である。
ところで、「野に下る」を「のにくだる」と読むと、どこか高台の家から野原にピクニックに行くために階段を下りていくといったほのぼのとしたイメージになるので、あくまで「やにくだる」と読まなければならない。(JPZB)