カテゴリー:慣用語、擬声語、擬態語
役不足とは、歌舞伎などで役者が実力より低い役を与えられることをいい、ひいては能力より低い仕事や役割を与えられて不満を感じている状況を意味している。
テレビのミステリードラマなどで、明らかに役不足と感じられる俳優が前半にチョイ役で登場すると(例えば、被害者の友人の親の役とか、レストランのウェイター役とか)、その人物が犯人である可能性が高いので、ディレクターはキャスティングに十分注意していただきたいものである。
なお、現代ではこの役不足という言葉は、「その役割に対して自分の実力が不足している」という、まったく逆の「力不足」という意味で用いられることも多いが、「こんな仕事はおれには役不足」だなどと自信満々なやつに限って「力不足」である場合が多いから、納得できない誤用でもない。また、日本人の控えめな性格から見ても、ある役割を与えられたとき、本来の意味での「役不足」と感じるより、「力不足」と感じる場合の方が多いのだから、いっそ現在の誤用も正式な用い方として辞書に併記してしまえばよいと思われる。(KAGAMI & Co.)