カテゴリー:慣用語、擬声語、擬態語
努力を惜しまない、喜んでするという意味。けち、出し惜しみすること、ためらうことという意味の「吝か」を否定したもの。「御社の再建にあたって協力するに吝かでない」「あなたの努力を認めることに吝かでない」などと用いるが、ほんとうに喜んで協力したり、認めたりしたいなら、「全面的に協力します」「喜んで認めます」とズバリ言うべきで、出し惜しみするとかためらうという意味の「吝か」を持ち出すのは、「ほんとうは吝かだけれども、タテマエ上言ってみました」的なホンネをのぞかせた言い方であると言えよう。
困っている人を援助するとき、「吝かでない」「微力ながら」「陰ながら」などと、あまり積極的に人助けをしたくないようなことを言う日本人のために弁護しておくと、これらは自慢げに人助けをするべきではないという「陰徳(隠れてする善行)」の美学を表した言い方だと解釈することもできる。つまり、「たいしたことはできない」と言いつつ精一杯力を尽くすのがカッコいいと、われわれは考えているのである。(KAGAMI & Co.)