この辞典の使い方「も」で始まる言葉>もったいないの意味、語源

カテゴリー:慣用語、擬声語、擬態語

もったいない、勿体ない

もったいない

 もったいない(勿体ない)とは、現代では主に「ご飯を食べ残すなんてもったいない」のように、しみったれの勧めのような意味で使われるが、本来は、「神棚を粗末にあつかうとはもったいない」のように、神聖なものについて「扱いが不当である、恐れ多い」という意味で用いられる言葉である。それがご飯の食べ残しについていわれるようになったのは、命を支える食物としての米、ひいてはそれを作る農家の人々敬意を表しているからであり、「米粒ひとつを神様扱いするなんてそれこそもったいない」などと考えてはならない。

 「勿体(もったい)」は、中国語で物の本質や本来あるべき姿を意味する「物体」から来ており、それが日本で「荘重な様子や態度」という意味に変化し、漢字も「勿体」となって、「勿体をつける(重々しい態度をとる)」といった使い方がなされるようになったという。したがって「勿体ない」は「重々しくない」ということで、本来重々しく扱われるべきものに対して態度が「不当である、不届きである」といった意味で使われるようになったもの。

 なお、「もったいない Mottainai」という言葉は、ケニア人の環境保護活動家ワンガリ・マータイさんが、環境保護、省資源の精神の根本に、自然や物に対する尊敬の念があることを表した言葉として世界に紹介し、高度成長期以降、もったいないことばかりしているわれわれ日本人も、先人たちがただのしみったれでない哲学の持ち主であったことを気づかされたしだいである。(CAS)

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