名刺とは、ビジネスの現場で初対面のときなどに交換される、氏名、会社名、所属、職名、連絡先などを記した小型の紙、すなわちビジネスカードのことを主にいう。漢字で「名を刺す」と書くので、相手の頭に自分の名前を刺して記憶させたいからそんな名称なのかと思いきや、古代中国で竹や木を削って名前を記した名札を「刺」といっていたところからきているらしい。そのため「刺」には「刺を通じる(面会を求めるために名前を知らせる)」「刺を還(かえ)す(名刺を返す、面会を断る)」といった古めかしい使い方もある。相手の担当者がボケナスでいくら説明してもはかが行かず、本当に自分のビジネスカードだけでも頭に突き刺しておきたいと思う気持ちはわかるが、商談はあくまでねばり強く冷静に進めたいものである。
諸外国でも名刺に当たるビジネスカードは利用されているが、それは単なるビジネスツールにすぎず、テーブルの向こうから「よろしく」(もちろんその国の言葉で)などといって投げたりする。ビジネスの場においては、基本的に相手を自分より上の立場に置く日本では、名刺は貴重品を扱うように丁寧に扱われ、いくら相手が得意先の担当者であっても、名刺を投げられたりしたら、「あんな失礼なところ、二度とお願いに行かねえ」などと弱い立場のくせにつっぱって取引をぶちこわしたりするのである。(CAS)
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