召すとは、皇族や貴族などの貴人が下々の者を「呼び寄せる」という意味だが、他にも貴人の様々な動作、例えば「食べる」「着る」「(年を)取る」「(気に)入る」「(風邪を)ひく」などを表す尊敬語として、「お召しになる」といった言い方で用いられている。貴人のいろいろな動作をなぜ「召す」というひとつの言葉で間に合わせたのかというと、下々の者が貴人のいろいろな動作についていちいち尊敬語を思い出すのがめんどうで、「ぜんぶ『召す』でやっつけとけばいいんじゃね」と思っていたからではないかと考えられる。……というのはまあ、冗談半分の解説で、「召す」は、英語のgetのように、遠くにあったものが自分の手元に現れる、自分のものになるというイメージで捉えられるので、「食べる」「着る」「年を取る」…といった行為や動作などに共通して使われたというところではなかろうか。(CAS)