「身の丈にあった」の「身の丈」は「身長」のことだが、例えば「身の丈にあった生活」といっても、プロバスケットボールの選手の生活という意味ではない。「背伸びをするな」という言葉にも言い表されているように、この場合の「身の丈」は人間の能力や器量、経済力などの比喩である。しかも「身の丈に合った生活をしなさい」は、身の丈の小さい人、つまり能力や器量がなく、経済力も乏しい人に、貧しく虐げられた生活で我慢せよということを言いたいのである。そう言われると、身分制度を甘受する封建的な処世訓のようにも聞こえるが、それほどのことでもなくて、金も稼いでないのに見栄を張って、方々から金を借りて派手な生活をしているろくでなしを戒める、といった程度の用いられ方をする軽い言葉である。(CAS)