マーシャルアーツ(martial arts)とは、直訳すると戦争・戦闘の技術という意味だが、主に武器を用いない戦闘技術(はやい話がけんかのやり方)をスポーツ化したものをいう。「戦争の」という意味のmartialは、語源はローマの戦争の神「マルス(Mars)」から来ている。
martial artsは日本語でいう「格闘技」にあたるが、実はこの言葉、20世紀初頭アメリカで日本の「武術」すなわち「武(戦い)」の「術(技術)」を直訳した英語。日本語の「武」にこめられた精神性を考えるならsamurai arts(サムライの技)とでも訳してほしかったところだが、選手の「勝てばいいんだろう」というような態度を抑制するためにちまちましたルール改正が行われている現行の競技を見れば、「戦争の技術」という訳語でちょうどよかったのではないかとも思える。そのような競技とともに里帰りしたmartial artsという言葉に、「武術」ではなく「格闘技」という訳語が当てられたのも納得がいく。(CAS)