カテゴリー:慣用語、擬声語、擬態語
まぐれ(紛れ)とは、偶然という意味だが、「まぐれ勝ち」「まぐれ当たり」というように、偶然がよい結果を招く場合に用いる。特にスポーツ選手などが、ほんとうは実力で勝負に勝ったと思っているにもかかわらず、偉そうなことを言って恨みを買い、次の勝負の機会にボールでもぶつけられたり、反則パンチを食らったりするのがいやなものだから、勝利インタビューを受ける際に、「偶然勝てただけです」という意味で「まぐれです」と用いる。つまり、「実力」や「戦術」ではなく、「偶然」「幸運」を強調する謙遜の言葉である。
「まぐれ」は「紛(まぎ)れ」が転じたもの。「紛れ」は、「人混みに紛れて見えなくなる」というように、雑多なものに混じり合ってしまうという意味。また「紛らわしい」というように、似たようなものや雑多な要素の中に混じり合ってしまって、本物や本質、筋道が見えなくなるという意味でも用いる。そこから「まぐれ」は、筋道だって成果に到達するのではなく、無数のはずれくじの中から偶然に当たりくじを引き当てるという幸運な状況を言い表しているのだといえる。(CAS)