風雲急を告げるの「風雲」は「風」と「雲」だが、情勢や政情を意味する慣用語としても用いられる。「風雲急を告げる」は、中国語「風雲告急」の読み下しかと思われるが、情勢や政情が不穏でいまにも大変革や大事件が起きそうな気配であるという意味で、「風雲急」とも略される。「風雲急を告げる」は、嵐が近づいている戦争や革命前夜の雲行きを連想させるが、ニュアンスとしてはそのような変革をわくわくして待ち望んでいる(台風が近づくと狂騒状態になるバカな子どものように)気分が含まれている。というのは、この「風雲」は、ただの「風」と「雲」ではなく、風と雲が沸き立つことにより龍がそれに乗って昇天するという舞台装置なのであって、龍が登場すれば竹藪からライバルの虎が現れて対峙するというシナリオが展開する。したがって「風雲急を告げる」はいまにも龍虎のようなヒーローが現れて互いに競い合い、人々をよい方向に導いてくれるという、アニメの中で展開されるような「正義の戦い」が始まるとか、当方にはなんの利害もない、高みの見物にふさわしい政争が始まる、といった期待を抱かせる情勢のことをいうのである。(CAS)