粉骨砕身とは、骨をパウダーにし身をミンチにするという意味だが、ハンバーグのレシピではなく、自分の骨を粉にし肉体を砕いてまで懸命に働く、人のためにつくすと言いたいのである。他人のためにつくすという意味では「骨を折る」という言葉があるが、骨を折る程度では済まないのがこの「粉骨砕身」で、「骨を折る」が「物好きで身近な人の世話をする」といったおもむきがあるのに対して、「粉骨砕身」のほうは悲壮感が漂い、「国家のために粉骨砕身努力する」「会社のために粉骨砕身働く」など、尽くす相手も、尽くさなければほんとうにミンチにされてしまいそうな権力者である場合が多い。
「粉骨砕身」という大げさ表現は中国発祥ではないかと思われ、やはり類似の言い方が中国にあるが、あちらでは「粉身砕骨」というらしく、「粉」と「砕」が逆である。どっちを粉にしようが砕こうが似たようなものなので、日本も中国もたぶん語呂のいい言い方で定着しているのだと思われる。(CAS)