ブイブイ言わすとは、威勢を誇る、羽振りを利かせる、といった意味の俗語で、「イケイケである」と類似しているが、「イケイケ」が勢いに乗ってどんどん攻めるという上昇志向のニュアンスであるのに対して、「ブイブイ言わす」は、あぶく銭や見せかけの名声で偉そうにしているという上から目線の態度を感じさせ、いずれもバブル期の「いやなヤツ感」を漂わせた言葉である。
「ぶいぶい」は江戸時代ころからある言葉で、不平不満をうるさく言い立てる様子、そういう人、「言わす」は「言わせるようにしむける」という意味で、関西方面で不良が「相手に負けを認めさせたり、謝罪の言葉を言わせる」という意味で用いていた俗語。「ブイブイ言わす」は、当の本人が威勢がよかったり、羽振りが利いていたりするのだから、ほんとうは「ブイブイ言う」が適切で、「(他の人に)言わす」という言葉が組み合わされるのはおかしい。個人的な印象では、うるさく言い立てる「ぶいぶい」と、相手を屈服させて威勢を誇る「言わす」が、暴走族がバイクをふかして(ブイブイ言わして)周囲を威圧するイメージと重なり、組み合わされた言葉であるように感じられる。(CAS)