カテゴリー:食文化、料理、食品、食材
箸とは、人間の体は汚れているという思いこみを無視できない人々が、最も便利な食具である手の代わりに発明した、扱いにくく心許ない食具。
ロラン・バルトは、切り刻んだり突き刺したりしない箸は、食物に対する優しさを表現していると言っているが、箸を使う国では切り刻んだり突き刺したりする作業は料理人がすべてやっているだけの話である。もっとも、ナイフやフォークを使う人々のように、手抜きした料理人にかわって、ときに生きているときの形のまま出てくる肉などの切り分け作業を、金を払って料理を作らせているはずの客が食卓でしなくてもよいだけまし、というべきか。(CAS)