惚気る(のろける)とは、男女の仲のよさを得意になって話す行為を意味し、聞かされている人々にとっては(仲がよいといっているその相手が、とんでもない浮気な遊び人だと、本人以外みんなが知っているといった状況ででもないかぎり)おもしろくもなんともない迷惑行為をいう。そのような惚気話(のろけばなし)を長々と聞かされそうになった場合、私たちはマナーとして「ごちそうさま」と食事の後の挨拶を返すが、これは「もうおなかいっぱいで食べられません」転じて「そんなまずい料理はもういらない」という意味の断り文句として使用されるのである。
惚気るの「のろ」は、スピードが遅いという意味の「鈍(のろ)い」の「のろ」と同じ語幹であり、「惚気」は「動きがのろくなった精神」を意味する。つまり、恋愛に夢中になって周囲のしらっとした空気が読めないほど、頭の回転が鈍くなっている状態をいい、そんな鈍い精神状態から言葉を発するのが「惚気る」である。(CAS)