猫とは、鼠を捕ることが唯一の取り柄だったが、いまやその必要もなく、献身的な犬を尻目に自身の快楽を追求して生きている動物。ときどき猫なで声のひとつも出せば、人間などというものは自分を甘やかしてくれるという態度がかいま見える憎たらしい動物である。
ネコは、日本には仏教の伝来とともに中国から伝えられたといい、経文を鼠害から守る役割を担わされていた模様。いまでも猫はときどきハンティングしたネズミや鳥を、頼まれもしないのに飼い主のもとに持ってきて、しらっとした顔でそれらを落として去っていく。昔はその褒美にカツオブシでももらっていたのかもしれず、当時の習性が残っているともいえる。都会のネコの中にはネズミや鳥などに興味さえ示さないヤツらも増えているが、よくしたもので、そんなネコでさえネズミはトラウマ的に恐怖を感じるようで、農場などでネコを飼うと彼らが積極的に狩猟するしないにかかわらず、ネズミは姿を消すようだ。現代のネコたちは、(たぶん)はたらきものだった祖先のネコたちに感謝しなければならない。
一方「ねこ」という言葉は、しょっちゅう「寝」ているところから名付けられたともいわれているように、当時から人々は彼らにあまり過大な期待はかけていなかった状況もうかがえる。(CAS)