糠味噌が腐るとは、音痴の人が歌をうたうときに発揮する超能力のひとつ。スプーン曲げなど罪のないものに比べると悪質な能力であるといえる。
冗談はさておき、一般的には「へたな歌で糠味噌が腐る」と言い慣わされているが、関西方面では「へたな浄瑠璃で味噌が腐る」という例えがあり、落語『軒付け』のサゲにも用いられている。この「浄瑠璃で味噌が腐る」というものもふくめて、なぜへたな歌を聴く感覚を糠味噌(または味噌)が腐ると表現するかについては諸説あるが、どれもこじつけのように感じられ説得力に欠ける。また、現代人にとっては「糠味噌(味噌)が腐る」という状況もわかりにくく、同じ味噌なら「脳味噌が腐る」とでも言い換えたほうがわかりやすそうである。実際に若い連中は「耳が腐る」などと、あまりひねりのない言い方で仲間の歌をけなしあっている。(CAS)