無きに等しい(無いに等しい)とは、無いのと同然であるという意味で、「非常に少ない」ということを伝える言葉。同じく「非常に少ない」ことを伝える慣用句に「無きにしも非ず」がある。しかし、例えば「お父さんの頭頂部の髪の毛は無きに等しい(無いに等しい)」とは言うが、「お父さんの頭頂部の髪の毛は無きにしも非ずだ」とは言わない。なぜなら、「無きに等しい(無いに等しい)」は、「有る」ことがはっきりしている(はっきり見えている)ものに対して「無いも同然だ」と言っているのに対して、「無きにしも非ず」は、あるかないかはっきりしていない(はっきり見えていない)もの、つまり「可能性」などについて「無いと言ってしまうのは正しくない」と、期待をこめて言っているのであって、お父さんの頭頂部の髪の毛が2本だろうと3本だろうと、あることがはっきりしている(はっきり見えている)ものについて、いくら「有る」ことに期待を持たせる言い方であるにせよ、「無きにしも非ず」とは言えないのである。(CAS)