この辞典の使い方>「な」で始まる言葉>情けは人の為ならずの意味
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情けは人の為ならずとは、直訳すれば「恩情は人のためでなく、自分のためにかけるものだ」という意味で、その心は「いま人に恩情をかけておけば、やがて自分にも幸福が訪れるのだから、積極的に善行を施しておきなさい」と解く。つまり、いくら哲学的に深い意味があっても、「無償の愛」といったタテマエ論では人は動かず、ウソでもいいからなにがしかの動機付けが必要であるという慈善家のホンネを言い表したことわざである。
なお、近年「情けは人の為ならず」は、しばしば「情けは人の為にならず」と誤解される。この場合、「情けをかけることは本人の自立のためにならないからやめておけ」と解釈され、本来の「善行の勧め」とは正反対の教えとなる。つまり、最初から善行をほどこす気のない人がタテマエとして掲げる言い訳であり、時代の気分を表す誤用である。(CAS)