南蛮とは、南方の野蛮なやつらというほどの意味で、もとは中国人が周辺の異民族に対する蔑称として使っていた言葉。それを日本人が、シャムやルソンなど東南アジアを拠点として日本に来航したポルトガル人やスペイン人にあてはめたもの。
その昔、世界の中心にいた中国人はご丁寧にも、東西南北、全方位の異民族を同じ意味合いのそれぞれ違う言葉でいいあらわしていた。「南蛮」もそのひとつであり、日本人も東の野蛮人に当たる「東夷(とうい)」と呼ばれていた。日本人は中国人ほど自己チューではないし、ポルトガル人やスペイン人は野蛮人とはいえなかったが、肉食男子の体臭をぷんぷんさせている彼らを見て、当時の日本人も中国人のようにちょっと偉そうな顔をしてみたかったか、逆に「南からやってくる西洋人ってとってもワイルド」みたいな好奇と憧れの気分でこの言葉を用いていたのではないかと思われる。彼らが持ち込んだ料理や唐辛子やトウモロコシなどの食材についても、ついでに「南蛮」と呼んでいたことをみても、日本人が真の意味をたいして考えもせずにこの言葉を使っていたことがわかる。(CAS)