土用とは、陰陽五行説に基づいた春夏秋冬各季節の終わりの18日間をいい、暦にはその18日間の最初の日が記されている。つまり土用は年に4回あるわけだが、日本では「土用」といえば、新暦7月20日ころから立秋前日の8月7日ころまでにあたる夏の土用だけをさすようになっている。特に一般人には「土用丑(うし)の日」として、猛暑に対抗するスタミナをつけるためウナギを食べることが勧められている日のみが知られ、ウナギを食べる習慣がなかったら多くの日本人が一生知ることもない時候となったことは疑いない。
ところで現代の日本人は「土用」の期間を正確に言うことはできないし、「土用丑の日」がその年は何日に当たるのかなんて、なおさら知るよしもない。鰻屋やスーパーマーケットから「今年は●日」と教えられて、「さ、今年もウナギを食べなくちゃ」と、いそいそとパック詰めのかば焼きを買いにいくという情けなさなのである。(CAS)