カテゴリー:慣用語、擬声語、擬態語
土壇場とは、江戸時代に斬首刑を行うために土を盛り上げて作った場所のことをいい、そこからせっぱつまった状況を意味する言葉となった。現在では、野球の試合で負けているチームにとっての最終回二死走者なしといった状況などに用いられ、そんな場面で逆転勝ちが起ころうものなら、翌朝の新聞に「土壇場の大逆転」という文字がおどることになる。ということは、これから首を切られるという状況で、そのまま首を切られてしまっては、「土壇場」という言葉を用いる価値がなくなり、免罪が晴れ、首を切られる寸前に「その処刑待った」と止めが入るというような、大逆転が起こった場合こそ「土壇場」の「土壇場」らしさが発揮され、言葉としても生きてくるのだといえる。
ところで「土壇場」は、一人のヒーローが大活躍する場面を意味する「独擅場(どくせんじょう)」あるいは「独壇場(どくだんじょう」と見た目が似ているため、両者を混同している人も少なからずいる。映画でヒーローが「独擅場」の活躍を見せるのは「土壇場」の場面に決まっているので、ぼんやり映画を見ている人が混用する気持ちもわからないではない。(CAS)