カテゴリー:食文化、料理、食品、食材
丼とは、通常の茶碗よりひとまわり大きい碗。また、この碗に入れて饗される料理のことをいう。その料理とは、通常の食卓では飯とおかず(副食)として別々に出される品を丼の中で一つにまとめたもの。つまり日本式ファストフードの代表的な料理であり、「早く作れて早く食べられる」、「栄養バランスが悪くカロリーが高い」など、ファストフードの不健全な特徴を見事に兼ね備えている。しかし「飯もおかずも一緒に食べちゃえ」みたいなその下品なスタイルにより、寿司や天ぷらのように成り上がってセレブぶった顔も見せず(もちろん中には「幻の卵を使っている」などと称してお高くとまっている丼もあることはあるが)、あくまで庶民の味方にとどまってサラリーマンや学生の圧倒的な支持を受けている。
丼という料理は「{丼(飯+おかず)}」という作り方を言い表しているだけなので、飯に合うおかずの数だけ種類があると言ってもいいようなものであるが、無数の庶民の舌が淘汰した定番と目される丼が今に残っている。それは、かつ丼(飯+とんかつの卵とじ)、親子丼(飯+鶏肉の卵とじ)、うな丼(飯+ウナギの蒲焼き)、牛丼(飯+牛肉の煮込み)、天丼(飯+天ぷら)、海鮮丼(飯+魚介類の刺身)等々である。中でも、かつ丼、親子丼、うな丼、牛丼などは飯とおかずを分離したのではものたりなく感じるほど、飯とおかずが丼の中で一体化している。(CAS)