トサカに来る(鶏冠に来る)の「トサカ(鶏冠)」は、ニワトリの雄の頭部についている冠状の赤い肉片をいう。「トサカに来る」は、「頭に来る」というときの頭を訪れる怒りの感情が頭を通り過ぎ、もっと上のトサカに達するほど激しいことを意味している。しかし一方で、人間にはあるはずもないトサカを持ち出しているところから、「頭に来る」をパロディ化したニュアンスもあり、頭には来るけれどもばかばかしくてどこか許せる程度の怒りを言い表しているともいえる。冗談ではなく怒りが制御できないほど激しい場合は、頭やトサカに来た怒りが髪の毛を逆立てるほどだという意味で、「怒髪(どはつ)天を衝く」という。(CAS)