この辞典の使い方「と」で始まる言葉>どんでん返しの意味、語源、由来

カテゴリー:慣用語、擬声語、擬態語

カテゴリー:音楽、演劇、芸能、映画

どんでん返し

どんでんがえし

 どんでん返しとは、形勢や立場が正反対にひっくり返ることで、特に小説やドラマにおいてそのストーリーが予想と正反対の展開を見せることをいう。ミステリー映画のラストシーンで、それまで捜査の中心人物であった刑事が実は犯人であることがわかったというような筋書きがよくあるケースで、制作者側としてはさぞかし大受けだろうと期待していたら、あまりに非現実で都合のよすぎる結末に観客が怒って「金返せ」コールが巻き起こる……というような展開こそ真の「どんでん返し」というべきであろう。

 「どんでん返し」は歌舞伎のセットに用いられている仕掛けの名称からきた言葉である。その仕掛けとは、背景を描いた大道具が後ろへ倒れ、床に伏せてあった背景が立ち上がって、一瞬のうちに場面が転換するというもの。本来は「強盗返し(がんどうがえし)」といい、「強盗提灯(がんどうちょうちん)」と呼ばれる、内部に回転するロウソク立てを取り付けた金属製の提灯から来ている。「強盗」は現代の読み方では「ごうとう」で、家に無理やり押し入ったり、相手を脅迫したりして金品を奪う悪党のこと。「強盗提灯」は懐中電灯のように前方しか照らさないので、強盗が夜間家に押し入るとき自分の顔が見えないように使ったことからそんな名前が付いたらしい。歌舞伎の「強盗返し」は、強盗提灯のろうそく立ての回転する部分が、大道具の回転に似ているところから名前を拝借したものである。しかし当辞典でもこんなに長く解説しなければならなかったように、しろうとにはあまりに意味がわかりにくいので、「ど〜ん」とひっくり返って「で〜ん」とシーンが替わるというような、サルでもわかる簡単明瞭な「どんでん返し」に言い換えられてきたのだという。その言い換えが功を奏して、ひとりよがりの推理小説や出来の悪いミステリードラマでもさかんに用いられて人口に膾炙した。ネーミングの重要さというものをあらためて考えさせるお話しである。(CAS)

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