どういう風の吹き回しかとは、思いがけないことが起きたときに用いる常套句で、どんな方向に風向きが変わってこういうことが起こったのかという意味である。ここで「風(かぜ)」は、風で帆船が動くように、人にある行動を起こさせる外力、それも、どこからともなく吹いてきて気まぐれに方向が変わったりする、あまり原因や理由のはっきりしない力をいう。「どういう風の吹き回しか」は、「どういう風の吹き回しか、難航していた商談が契約の運びとなった」のように、主に自分にとって都合のよいことが起きたとき、なぜそうなったのか理由はよくわからないが、ラッキーなんだからいいじゃないか、みたいなノリで用いる言葉である。
一方、思いがけない不幸なことが起きたとき、われわれは「なんの因果で」といった常套句を使う。「因果」は原因(因)と結果(果)を意味し、悪い出来事は自身の悪行が原因となって起こるという仏教思想を表す用語。要するにわれわれはなにか不幸な出来事に出くわすと、「なんの因果で」とその原因を追及する姿勢を見せるのに対して、幸運な出来事については、その原因や理由を確かめもせずに、「どういう風の吹き回しか」などと片づけて幸せを享受する傾向にあるということであろう。(CAS)