カテゴリー:食文化、料理、食品、食材
天ぷらとは、寿司と並んで、料理人が作っている姿を見せたがる日本料理の双璧。気むずかしそうでいかにもこの道一本といった風情の職人が黙々と作っている姿でも見せないと、あれだけの代金を請求するのがはばかられるのかもしれない。日本式ステーキ店の鉄板パフォーマンスも、脳天気なアメリカ人向けに派手に改良されているが理屈は同じで、あの値段は観劇料込みの価格だと理解しておきたい。
天ぷらは魚介類や野菜に、水で溶いた小麦粉や卵で衣をつけ、多量の油で揚げたもの。江戸時代、屋台料理として庶民に愛された賤しいファストフード界の出身だが、後に日本を代表する高級料理となり、欧米の有名人にも愛されているなどとえらそうな顔をするようになった。その意味でも寿司と似た境遇の持ち主である。(CAS)