詰め腹を切らされるといっても、サンクスギビングデイの日に、ピラフやセロリやタマネギを詰め込んだ七面鳥の腹を切り開く役目を、いやいややらされることになった気の弱いお父さんというというような、わけのわからないシチュエーションを言ったものではなく、ここでいう「詰め腹」の「詰め」は、「追い詰める」「問い詰める」などの「詰め」で、相手を窮地に追い込むことをいい、「詰め腹を切る」は、責任を追及されて切りたくもない腹を切る(切腹する、責任を取る)という意味。その使役形である「詰め腹を切らせる(他の人に切るようにしむける)」の受身形が「詰め腹を切らされる」である。喜んで詰め腹を切るバカはいないから、たいていはいやいや感がひしひしと伝わってくるこの使役の受身形が用いられ、七面鳥の腹を切ることになったお父さんより、よほどシビアな状況が伝わる慣用句となっている。(CAS)