大黒柱とは、日本の伝統的な民家建築において、家を支える中心的役割を担った柱のこと。建物の中央に位置し、他の柱より太く、家の象徴的な意味も担っていた。慣用語としての「大黒柱」は、家や組織を支える働きを担っている中心人物のことをいう。現代の住宅建築は、大黒柱のような役割を持つ柱は使わず、同等の太さの複数の柱を使うか、細い材木と板で壁を作って重さを担わせるという工法をとっている。こんなことをわざわざ説明したのは、いうまでもなく、慣用語としての「大黒柱」のほうも存在の薄さが目に余る現状だからである。
大黒柱の語源には諸説あり、大黒柱が台所のある土間に立っていることが多いことから、台所にまつられる神様・大黒天にちなむというもの、古く朝廷の「大極殿柱(だいごくでんばしら)」に発するものなどが有力。大黒柱が台所に立っていたというのは、慣用語としての「大黒柱」がふつう、家から外に出て金を稼いでくる男性をさしていうことが多いにもかかわらず、実は台所の実権を握っている女性のことを、昔からたとえていたのではないかという疑いをもたせるに十分な事実である。(CAS)