蝉(セミ)とは、日本の夏をうるさくいろどる昆虫。いろいろな種類のセミが時期をずらしてなくので夏の間中鳴いているように感じられる。
セミは、地中の幼虫期間に比べて、成虫の寿命が短いことで知られる。しかし、短寿命にもかかわらずその鳴き声は圧倒的な存在感があり、多少長生きするダンゴムシなどよりよほど目立った存在である。日本の昔の詩人たちは、そんなセミが短い生涯を精一杯鳴いて存在を主張する姿をあわれんで歌にしたりするのだが、彼らはセミが幼少期の地中でのぬくぬくした生活を、種類によっては15年以上も送っていることを知らないか、知っていても、その長い地中生活を日の当たらない芸人の下積み生活であるかのように悲観的にとらえすぎているのではないかと思われる。
「せみ」の語源については、セミの鳴き声が「せみせみ(せんせん)」と聞こえたからだとする説などがある。セミと言えば、まず鳴き声が連想される(その次に連想されるのは、道ばたで死んでいること)ので、自然な語源ではないだろうか。現代中国語では「蟬」の他、「知了zhiliao(チーリャオ)」という言葉が特に口語で用いられているそうだ。これも鳴き声から来ているらしいが、しゃべり声がとてもうるさい中国人でも、さすがにセミの声はうるさく感じられるのであろう。(CAS)