カテゴリー:宗教、民間信仰、俗信
千社札とは、自分の名前を印刷した紙幣くらいの大きさのステッカーで、神社仏閣に詣でた印として、社殿や山門などに張るもの。「この俺がわざわざ来たのだからご利益を忘れるなよ」と言いたげなずうずうしい張り紙で、そんな態度を象徴するように手の届かない高い所に張ってある。なんでも、千社札を張るための専用の道具(竹竿)があり、なるべく高いところに張るのが「通(つう)」なのだそうだ。
千社札は江戸時代、宣伝上手な狐の重役がいる稲荷神社が、千箇所のフランチャイズ(千社)を詣らせるために考案した、いわばスタンプラリーのような販促企画なのだとか。おっちょこちょいな江戸っ子は、狐に化かされて子どもだましの誘いに乗ったが、狐とは縁もゆかりもない普通の神社にとって千社札はただの迷惑な張り紙としか見えず、禁止しているところが多い。(CAS)