カテゴリー:宗教、民間信仰、俗信
先祖とは、いま生きている人の背後ではるかな過去まで営々と行列を作っている死者のこと。彼らが行列して待ち望んでいるのは、生者が死んで行列の一番前に並ぶことである。そのため先祖たちは、年に一度ほど生者の世界にやってきて、「そろそろいかがですか」と生者たちを勧誘する。
中国の影響を受けて、日本には先祖を尊ぶ行事があるが、日本人にとって先祖はせいぜい2、3代前までであり、遠くの先祖によほど有名な人でもいなければ、大半が自分の先祖には興味がない。また、先祖にビッグネームがあったとしても、その途中をつなぐ有象無象にはこれまた興味が薄く、家系図作りはあまり流行らない。もっとも、その家系に髙い資産価値があれば話は別だが……。(CAS)